恐ろしい冬休み その1

着衣のままのKくんを私は椅子に緊縛した。昨晩学校の後無理やり飲みに誘って、その後家に連れ込んだのだ。隙を見て酒に睡眠薬を盛ったら、私のアパートに着くなり彼は眠り込んでしまった。

準備は万端だった。縄や手錠、その他諸々の器具を事前に揃えておいた。アナルビーズ、尿道ジー各種、浣腸用ポンプとチューブ、牛乳3リットル。ピンクローター。バイブ。ストラップオン。潤滑剤。ボウル。

私のアパートはユニットバス付きのワンルーム。家賃は安いが壁は薄くはないし、他に住んでいる人も少ない。大家も普段いないので犯罪行為にはうってつけの家だ。

眠っているKくんの体を椅子に座らせ、さるぐつわを噛ませてすばやく確実に縛り付けた。彼は未だによだれを垂らして寝息を立てて眠っている。普段の休日もいつもこんな感じでだらしなく惰眠を貪っているのかな?Kくん。君はかわいい顔をしているねえ。本当、女だったらアイドルにでもモデルにでもなれていたと思うよ。女の私でも羨ましいような美しい顔。体は本当に細い細い体をしていて、普通の女子より細い。女より女らしいKくん、君が好きだ。

Kくんは大学で同じ学科のクラスメイトだ。1年生の頃から同じ授業を多く受け続けてきた。彼はクラシック音楽が好きで、大学のオーケストラに所属しているらしい。いつもおしゃれな服装を体にまとい、明るい笑顔が眩しい。就職活動では化粧品会社を志望していたようだ。

彼は私のような人間にも積極的に声をかけてくれて、私はそれがとてもうれしかった。しかし彼の人の良さが悲劇的欠陥となったようだ。

彼の緊縛と器具の準備が終わってから私は彼の目覚めを待っていた。

連れ込んだのは午前2時。

次第に日が昇ってきた。

私はその間、ずっと、彼の顔と体を観察していた。もちろん無意識の状態で服を脱がしたりなんかしない。そんなの楽しみが半減じゃないか。私は花瓶に入れた花を観察するように彼の眠る顔を観察した。長いまつげ。整った鼻の形。薄く赤い唇。白い肌。細いあご。細くて長い首。尖った耳。花のように君は美しいよ、Kくん。

私はテーブルに並べて用意した器具のパレットを眺めた。Kくん、この私が君のためにここまでしてあげたのだ。光栄に思うがいい。

北向きの部屋。外が鈍い日の光の中で明るんできた。

私は部屋の蛍光灯を消し、弱々しい朝日の中で彼の姿をみた。

毛の一本一本が逆光で黒く見える。

彼の息をする音が部屋を満たす。

あたりは静かだ。

私は徹夜明けに、魔法瓶に入れておいたコーヒーをすすった。徹夜もコーヒーも嫌いだが君の顔を見るためならなんてことないよ。どのみち興奮で一睡もできるわけがなかった。徹夜明けの朝独特の寒さに私は震えた。

彼のよだれがあごからツーっと滴り落ちそうになっていた。私は思わずそれを舌で受け止めた。

そのまま彼の顎に舌を伸ばした。唇を奪おうかと一瞬ためらったが、私は彼の頰に方向を変えた。

君のこと舐めたら砂糖菓子のように甘いのかと思ってたけど、案外味がしないもんだね。

彼は夢の中でうなされ始めた。