ゴルゴタ

私は彼の膀胱に片手で圧力をかけもう一方の手でフェザータッチでおちんぽをしごいた。

「ああんっ、出るっ!」

私は勢いよくブジーを引き抜いた。ピュッピュッと射精のように透明の液体が出始め、それからチョロチョロと流れになった。

「あっ…はあ、はあ…」

彼は美しかった。フィギュアスケーターの転倒のように。彼の身体の美しさ、纏った縄の衣装がよけいにその転落の無様さを強調させた。彼の排泄した尿の匂いが暖房で温まった部屋にむせかえった。彼はブルっと体を震わせた。

「いやー…やっちゃったねえ」

「K君、尿道ほじくられてよろこんでおしっこ漏らしちゃったんだ」

彼の縮こまったペニスを私はペチペチと持ち上げて落として遊んだ。

「こりゃあK君、言い逃れのしようがないねえ」

彼は恥辱にまみれ、何も言わなかった。疲れ果てているように見えた。私は思わず同情した。

「えらいね。K君は頑張り屋さんだね」

「変態だってわかってても私、K君のこと好き」

私は彼に後ろから抱きつき、そう囁いた。彼は拘束されていたので抱き返せるわけはなかった。私は彼の髪に鼻をつっこんで深く息を吸った。ほのかにシャンプーの匂いがした。私は自分が好意を告白したことに気づき、少し照れ臭くなった。同時にこの好意が一方的であることを悲しく思った。

「君、シャンプーも女物なんだ。徹底してるね」

私はせせら笑った。

私は彼を破壊したいとは思っていなかった。ただ、もしかしたら彼を破壊させてしまう可能性があるかもしれないと考え始めた。少なくとも私のことを軽蔑していることは確かだろう。排泄を強制され、性癖を暴かれ…彼のプライドがズタズタになり去勢されたような気分になっているだろう。彼の普段の洒落た服装やキザな趣味を考えれば彼にナルシスト的傾向があることは想像に容易かった。

女装する男は決まってナルシストだ。女になりたいのではなく、女もやってのけられる自分の万能性に見惚れているのかもしれない。それは必ず自分が男であるということを前提にしている。

男であることを再確認させてやらないとK君らしさがなくなるかもな…

私はそう考えながら彼に水に溶かした睡眠薬を飲ませた。彼はなんの抵抗もなく素直に飲んだ。

私は彼が眠りにつくまでの間、濡れたズボンを脱がせ、猫の母親が子供を舐めて毛づくろいするように、温めた濡れ布巾で彼の汚れた体を拭いてやった。床を拭き、彼の上着もハサミで切って脱がせた。彼の入眠を確認したところで私は縄を解いてやった。

彼の裸の体の全体像を私は初めて見た。

十字架から降ろされたイエスのようだった。縄の跡が痛々しかった。

私はサン・ピエトロのピエタよろしく聖母マリアになりきり、彼の体を腕に抱いた。この私の部屋が彼のゴルゴタということになる。

私は彼の男性性を取り戻してやることを心に誓った。