新人先生を思ってしまう。
私は愛されたい…
家族とかじゃなくて恋人として。
今私の知る中で私のことを愛しているかもしれない人は彼だけだな。
彼は2時間以上も遅刻してきたわけだけど、でも概ねは私によくしてくれてるじゃないかと父親に指摘された。
確かにそうだ。
私を愛しているかもしれない人…
彼は既婚者で子供もいるが…

私はこの若い体を持て余している…
先生は私のことを2年生の頃から知っている。
メガネどすっぴんでトマトみたいな不恰好なコートを着ていた時の私を知っている…
私も先生が初めてうちの大学で教壇に立ったとき授業に出席していた。
先生が教室に問いを投げかけても誰も答えようとしなかった。
先生が「今日が初めてなんだ」と言い、私はうちの大学に悪いイメージを持たれたくないと、お客さん扱いして率先して答えてあげた。
私は先生のこと好きだ。
先生も多分私のこと好きなんだ。
私の体が好き?

私の知的さ?私の英語?

私のどこが好きなの?

私の優しさ?私の笑顔?私の文章?洞察力?

私たち付き合えないのかな。

不倫するか?いや、私はクリーンなイメージだからそれはなんとしてでも避けなくてはならない。

でも彼もまだ全然若いし、私も若くてお互いに性欲溜まってるはずなんだ。

そしてお互いにお互いのことが好き…

どうしよう。

仕方ない、既婚者なんだから諦めなくちゃ。

あいつよりいいやつはいくらでもいるはずなんだ。

私はとてもセクシーで色気があるんだけど、ビジネスライクで、とてもクリーンで、純粋で、優秀。

人を寄せ付けない。

大学の先生たちはみんな私のこと気づいてるし評価してる。

ただあいつが一番若くて見た目がいいってだけでしょ。

あいつは鈍感だし、頭もそんなに良くないし。知識も足りない。英語もまともにできない。

私はそもそもあいつを愛しているのか?

わからない。私には人を愛するという心がないのかも。

でも性的には惹かれている。

彼が私の真価を理解してくれているから。

でも先生たちはみんな理解してくれるよ!吉国さんだって!小野寺だって!

小野寺、結婚してんのかな。

さすがに年離れすぎだろ。

でも好きなものは仕方ないわ!

先生たちの中で一番古い知り合いだもん、好きなのは当たり前でしょ。

でも先生にとっては私は初めての学生。

あいつはショックだったかも。アカデミックな場であんなに英語のできる日本人はいなかったかもしれない。

でもあいつは傷つくタイプじゃない。

多分すごく喜んだと思う。

私は彼のこと好きだ、甘えちゃおうっかな。

今度あったらタッチしたい。

儚くて、綺麗な感情。

お互いの良心と理性にのみ保たれている危ない関係。

お互いの手に触れたことすらない…

こういう関係は貴重だ。

彼は妻帯者だし私もこれからいつかは結婚すると思う。

友人として、和解しよう。

人間の肉体は結局はただの物体だ。

人間の物体に命を与えるのは私たちの心だ。

心に惹かれるからこそ体に惹かれる。

心が消えてしまえば体は無価値だ。

体だけの関係は虚しい。

心だけの関係は物足りない気もするけど、仕方ないんだ。

私たちお互いのためなんだ。

お互い、性処理は別に行おう。

 

彼は彼の妻で、私は他の男で。

お互いにビジネスのふりをしてお互いを好きでいよう。

時々傷つくかもしれないけど、それでもお互いへの愛は永遠に…

お互い成長しよう。

いつか忘れるかもしれない。