私はYouTubeが好きです。

なぜかというと、時たま変な創作物が転がっているからです。

前このブログでご紹介したKraina Grzybowと似たようなもので、

Local 58というチャンネルを見つけました。

映像的に難しいことをしていないしビックリ系でもないのに怖い動画です。

リンクはあえて貼りませんので興味のある方はYouTubeで検索してください。

数分の動画で、なおかつ言いようのない恐怖を視聴者に与えるという点で結構優秀だと思います。

私もこういう動画を作りたいと思っているので、

この動画のホラー要素を解剖することで何がこの動画の怖さ・雰囲気を作っているのかを突き止めたいと思います。

今回のブログ記事でこれをKraina Grzybowと比較しながらお話ししたいと思います。

 

この二つのチャンネルはよく似てると思いますね。

両方とも2010年以降に投稿・作成され、

作者が自供(ネタバレ)していて、

なおかつ映像を80年代テレビ風に見せかける加工をしています。

あとは両方とも核戦争的な要素と退廃的な雰囲気、不気味なサウンドトラックがあります。

この二つのチャンネルはほぼ同じコンセプトで製作されたと言ってもいいでしょう。

視聴覚的vaporwave、シネマティック・ヴェイパーウェイブ。

いや、vaporwaveというのは間違いかもしれない。

存在しない時代と場所へのノスタルジアや恐怖を私たちの心理からサルベージした作品。

圧倒的に非日常的で、でもどこかでつながっているような。

二つの作品の間の大きな違いはKraina Grzybowが多言語的(主にヨーロッパ言語で日本語も出てきます)であるのに対し、

Local 58は純粋にアメリカのローカルチャンネルの録画かお蔵入り動画というコンセプトでやっていること。

Kraina Grzybowは80年代の子供向けテレビ番組という体裁で、キャラクターがキモカワだったり主人公の女の子も不気味ながらもかわいいです。

日本のセーラームーンやトトロなどのアニメの影響を受けている可能性が高いです。

スムーズなアニメーションが使われているシーンが多いです。

作者がグッズ販売もしていて、視聴者を怖がらせる以外にかわいい、80年代東欧的な、どこにもないノスタルジアを0から作り出すことが目的だったのではないかと思います。

なので何回も見たくなるし、サウンドトラックも完全オリジナルで遊び心があります。

私は結構好きです。

 

それに対しLocal 58は完全にミニマリストで、全ての映像や音声はパブリックドメインから入手されています。

このチャンネルのReal Sleepという動画は、大部分がただの文章の羅列です。

最初に登場するチャンネルのロゴもマイクロソフトペイントか、wordのワードアートで作れちゃいそうなシンプルさです。

しかし映像に揺れ効果とVHSの映像の荒れが加えられているので、もし作りに不備があっても怖さは失われません。

最初に、一瞬だけ(1秒未満程度)の映像が3つ流れます。

一つめがブルースクリーン

2つめが映像がPhilip Gerhardtの所有物だというディスクレイマー、

3つ目がThought Research Instituteのロゴ。

そこから本編が始まります。

「良質な睡眠を得るための知識」を問うクイズ形式をとってます。

最初に質問が提示され、答えまでのカウントダウンが5から0まであります。

私はまず5から1まででカウントダウンが終わると思ってたので、そこでビビりました。

まずBGMが調子外れで怖い。

これはKraina Grzybowでも使われていた常套手段です。

映像の古い感じと恐怖感と非日常感をこれ一つで醸し出せます。

次に、カウントダウンが早くてなおかつ効果音が怖い。

JUNGLEのハートのアイキャッチでも利用されてた、リズムで不安を煽る手段です。

これも別に特殊じゃありませんが効果的な手段です。